TOB騒動 ― 西武鉄道の将来は?

サーベラスによる西武鉄道の株式公開買い付け(TOB)が巷を賑わせています。
西武ホールディングスは、サーベラス側が不採算路線として5路線(秩父線・山口線・国分寺線・多摩湖線・多摩川線)の廃止、駅員の削減、更には西武ライオンズの売却に言及したとして、TOBに反対を表明しました。
沿線自治体の長が先頭に立ち、路線の存続を西武ホールディングスに申し入れました。
TOB反対署名の取り組みも広がっています(私も協力しました)。
西武鉄道並びに関連企業で働く人たちに、全く動揺がないと言ったら嘘になるでしょう。

当のサーベラスは、「路線の廃止や西武ライオンズの売却に言及したことはない」と言っていますが、公式的には完全否定はしていません。
一方で、西武ホールディングスの対応に憤りを表明し、返す刀で株式取得に一層躍起になっています。
両者の主張には食い違いがありますが、敵対的買収の様相を呈して来たことだけは確かです。

そもそも、サーベラスとはどのような存在なのでしょうか?
Wikipediaの出展によると、サーベラスこと『サーベラス・キャピタル・マネジメント(Cerberus Capital Management, L.P.)は、アメリカ合衆国を拠点とするプライベート・エクイティ・ファンドである。』とありました。

企業の経営に関与するのは、あくまで「企業価値を高めた後に売却して利益を得る」のが目的であり、「公共の利益への貢献」の理念があるかは疑わしい限りです。
それ故『ハゲタカファンド』と揶揄されるのも納得です。

西武ホールディングスの株主総会は、例年6月に行われます。
万が一、サーベラスが経営の実権を握ったらどうなるのでしょうか?
少なくとも、私には明るい展望は見い出し得ません。

路線の維持について見ると、池袋線・新宿線・拝島線・西武有楽町線の各線は安泰と思われますが、その他の路線については、名指しされなかった狭山線や豊島線にも手を付ける可能性は大いにあり得ます。


 杞 憂 で 済 め ば い い の で す が …

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ハイウェイが発達しており、より長距離は自家用ジェット機で、と言う国土の広いアメリカと日本とでは、鉄道の重要性や社会的地位は異なります。

理由の如何を問わず、安易に路線を廃止することは止めていただきたい。

《追記》 2013年6月27日
サーベラスのTOBは5月末をもって終了し、株式の35.48%を獲得しました。
それを受けての6月25日の株主総会では、留任する7名の取締役に加え、8名の取締役を新たに選任する提案が、サーベラス側より出されましたが、反対多数で否決されました。
一方、西武HD側より出された、留任する7名の取締役に加え、新たに4名を選任する提案は、賛成多数で可決されました。
総会終了後、西武HD側より「株式が速やかに上場出来るよう」サーベラスに協議を呼びかけましたが、サーベラス側は「敵対的な態度を取った」とし、不快感を露わにしました。

上場には両者の歩み寄りが不可欠なのですが、沿線自治体・住民・利用者を蔑ろにした「手打ち」だけは願い下げです。

by tane_mackey | 2013-04-21 21:12 | 鉄道 | Comments(4)

Commented by A80&481 at 2013-05-05 22:54 x
僕の母方の両親は西武多摩川線沿線在住なので廃止は反対です。西武多摩川線は東京外大、警察学校が移転してから利用客は増えています。サーベラスの人間はそのようなことを理解していないだけだと思います。

多摩川線の運行本数を見てもデータイムは1時間に5本(12分間隔)走っていますし、誰が見ても使いにくい路線ではありません。先月1日の都営バスのリストラは採算が取れない路線は廃止や減便を行いましたが、こちらの場合は交通局が原発事故の影響で都電の株が無配になったからです。民営との共管路線も廃止を余儀なくされました。西武が都営バスのような事情を抱えていたら話は別です。仮に多摩川線が廃線になってバス輸送に切り替えた場合、線路の跡地を舗装したり運行業者や車両の確保など手間がかかるので、環境面から見ても鉄道のほうが有利な気がします。
Commented by tane_mackey at 2013-05-05 23:37
A80&481様、コメント有難うございます。
「理由の如何を問わず、安易に路線を廃止することは止めていただきたい」は、今般のTOBで名指しされたことのみならず、近年相次ぐ鉄道やバス路線の廃止を憂う、偽らざる私の気持ちです。
十和田観光電鉄や、長野電鉄屋代線の廃止は、記憶に新しいところでもあります。
規制緩和の名のもとに、鉄道やバス路線の廃止のハードルが下げられたことが要因のひとつであり、見直す必要性を感じています。
一方で、「東日本大震災」で多大な被害を受けつつも、全面復旧したひたちなか海浜鉄道や、全面復旧に向けて懸命の努力をしている三陸鉄道などの例もあります。
国は、震災復旧の観点からも交通インフラの確保の面からも、積極的な援助をすべきだと思っています。
Commented by 沿線人 at 2013-06-06 23:20 x
私は、池袋線沿線で生まれ育ち現在も結婚をし沿線を利用して生活してます。仕事場の近くでは、多摩川線が走り利用もします。また国分寺線も利用するといった生活に密接している西武鉄道なのです。サーべらすの人間は、理解していないのかもしれないが、日本の東京の中心となる企業の働き手の社員たちは、沿線から通勤している事実を知らない。つまり沿線の町をベッドタウンにしている現状を考え判断してほしいものだ。沿線を切るということは、経済をも変えるほどの影響力のある沿線である認識を持ってほしい。適度の切り分けて都合よく打ってしまおうという魂胆かもしれないが、日本の地域の団結を馬鹿にしてはいけない。いくら設けとはいえ実際の顧客の利用を考えて判断すべき。アメリカのような大きな大陸の国ではないこの国は、狭いがゆえに生活と交通が隣接している。また、秩父線は、昔から秩父の人たちの交通手段として利用されてきた。売り上げが、ないというが、これからの日本は、高齢化の時代となりそういったシニア世代の登山や観光にもってこいとい事も視野に入れうまく采配すべき。
Commented by tane_mackey at 2013-06-07 13:16
沿線人様、コメント有難うございます。
サーベラスに名指しされた、多摩川線と国分寺線を利用されているとのことで、心中穏やかではないでしょう。
サーベラスのTOBは5月末をもって終了し、株式の35.48%を獲得し、株主総会で重要事項を拒否出来る権利を確保しました。
今月に行われる株主総会で、サーベラス側がどのような動きを見せるのか、まだまだ目が離せません。

今でこそ車社会、航空機社会のアメリカですが、古くは駅馬車によって「駅」と「駅」が結ばれ、「駅」を中心に町が発展し、開拓時代は鉄道がその役目を引き継ぎました。
現在は、大都市圏では地下鉄やLRTが活躍し、長距離の貨物輸送は今も健在です。

アメリカ以上に、町と「駅」とのつながりが深い日本においては、より地域に密着した鉄道(西武鉄道はまさしくこれ)の維持・発展こそ優先させるべきではないかと思っています。
「ただ走らせているだけ」の状況(車両や施設の老朽化、労働環境の悪化、労働意欲の低下、etc)では、利用者と鉄道会社双方にとって不幸です。
品質管理上必要な規制は緩めたり無くしたりせず、場合によっては支援もすべきです。